いおりんに罵られたい人生だった。そしていおりんをからかいたい人生でもあった。そんなわけで今回は、765プロのアイドル「水瀬伊織」の魅力をご紹介して参ります。
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アイドルマスターとはなんぞや?
「THE IDOLM@STER」シリーズは、プレイヤーがプロデューサーとしてアイドルを育成するシミュレーションゲームです。
2005年7月26日にアーケード版が稼動。その後2007年1月25日にXbox 360版「THE IDOLM@STER」が発売。ネット上でプレイ動画が数多く投稿され、一世を風靡しました。
弱小事務所「765プロダクション」のプロデューサーとしてスカウトされたプレイヤーは、アイドル候補生の中からパートナーとなるアイドルを決定し、ともにトップアイドルを目指し活動していくことになります。
いおりん人物像
水瀬グループ(または水瀬財閥)のご令嬢。そのため高飛車で非常にプライドが高い。初対面の人間やメディアの前ではいかにもアイドルチックな可愛らしい振る舞いをしますが、気心の知れた人間に対しては持ち前の気の強さを隠しません。プレイヤーに対しても、初対面では猫を被って接していましたが、すぐに化けの皮が剥がれる始末。
頭のリボンおよび親友であるうさぎのぬいぐるみがトレードマーク。2011年7月より放送されたアニメによるとこのうさぎ、「シャルル・ドナテルロ18世」という名前らしい。しかしゲーム版ではシンプルに「うさちゃん」であると明かす場面があります。どうやらアニメとゲームで設定が異なるらしい。
さておいて。彼女には二人の優秀な兄がおり、そんな兄の存在がコンプレックスとなっています。そのため自分だけの力でトップアイドルに成り上がり、父と兄を見返すべく765プロに入所したという背景があります。その割には頻繁に「アイドルをやめてやる」とゴネてみせる。そういうところも人間らしくて結構気に入っています。
スキンシップという名のセクハラに対する反応
本題についてお話する前に、ゲームシステムについて軽くご説明して参ります。
このゲームの主なコマンドは、アイドルのパフォーマンスを磨くためのトレーニング、アイドルとの思い出を増やすための営業、ファンを獲得するためのオーディションの三つに大別されます。トレーニングで地力を鍛え、営業を経て絆を深め、それら培ったものをオーディンションで発揮し、トップアイドルを目指していくわけです。
そのひとつである営業では、アイドルに指示やアドバイスを出す必要が出てくるのですが、その際セクハラ的な回答や行動を選べてしまうのがこのゲームの清濁併せ呑むところ。善人か悪人できっぱり行動が分かれることでしょう。でもしかたないんだ。タッチシステムが諸悪の根源なんだ。触ったり指差しできるのがいけないんだ。私は正気なんだ。
取り乱しました。伊織の場合、恥じらいよりも罵りに比重を置いた反応を見せてくれます。「変態」から始まり、「ド変態」「der変態」「変態大人」「EL変態」…など、各国の言語で罵倒を浴びせてくれるわけです。流石ご令嬢だけあって語学に長けている。よっ、いおりん。
セクハラ抜きにした真っ当なコミュニケーション
プロデューサーとのどつき合いのような掛け合いが癖になる。そしてプロデュースを経るごとにデレも見せる。さながら夫婦漫才。創作の金持ちにありがちなイヤミったらしさがなく、サバサバした伊織だからこそ成立する掛け合いと言えるでしょう。
肝心のデレ加減はいかがなものか。プロデューサーが仕事のため遊園地のリサーチに向かうと偶然を装って同行してみたり、休日出勤中のプロデューサーに慣れていないにも関わらず手料理を振る舞ったり、プロデューサーが自分をないがしろにした発言を口にすると怒りながらフォローしてくれたり。デコが広いだけあって懐も広い。
THE IDOLM@STER 2(Xbox 360版)
次に、作品ごとの相違点をご説明して参ります。
2011年2月24日、Xbox 360にて「THE IDOLM@STER 2」が発売されました。グラフィックやダンスのレベルが大きく向上し、よりアイドルのパフォーマンスに惹き込まれる内容となっています。「プロデューサーの入社が一年遅かった場合」というコンセプトがあり、アイドル達の風貌にに多少の変化が見受けられます。
伊織はと言えば、前髪をおろしちょっぴり大人びた印象。しかしデコは半分あけっぴろげ。半デコちゃんである。
伊織のプロデューサー(ファンのことです)はさぞやプロデュースを心待ちにしていたでしょう。ただひとつの訃報がなければ。
今作では伊織をリーダーとした亜美、あずささんの三人は「竜宮小町」というユニットを組んでおり、そのプロデューサーはプレイヤーではなく律子です。
つまり残念なことに、アイマス2では彼女ら4人のプロデュースは叶わないものとなってしまったわけです。彼女らのプロデューサーの嘆きはとても大きく、当時お通夜のような雰囲気だったことを覚えています。
THE IDOLM@STER 2(PS3版)
しかしここで朗報が。2011年10月27日に移植発売されたPS3版「THE IDOLM@STER 2」では、竜宮小町(律子含む)をプロデュースできるショートシナリオが追加されました。ボリューム自体は1~2時間程度と短いながらも、また彼女ら4人をプロデュースできる喜びときたらもう。
THE IDOLM@STER ONE FOR ALL
2014年5月15日に発売された「THE IDOLM@STER ONE FOR ALL」では、竜宮小町やそのプロデューサー律子が、正式にプロデュース可能アイドルとして復帰。実に7年と4ヶ月弱ぶりに、伊織とのアイドル活動が可能となったわけです。2と同じく、1の一年後である設定は踏襲されており、ビジュアルも2準拠。
肝心の伊織は、一年の間にやや成長したのか、当時のわがままぶりは多少なりを引っ込めた印象です。
ワンフォーオールでは、これまで存在していたプロデュース期限が取り払われ、エンドレスに活動が可能となっています。プレイヤーがプロデューサーとして成長するたびに、同時にプロデュースできるアイドルの人数が増えていきます。
そのためお気に入りのアイドルひとりと仲良くするというよりも、ナムコプロ全体として活動していくというイメージが強い。アイマスの良さとして、それぞれのキャラクターファンの間に派閥が存在せず、和気あいあいとしているという点が挙げられます。そんなアイマスだからこそ実現したコンセプトだというわけです。
ナムコプロの集大成として良作ではありますが、「水瀬伊織」個人を知りたいという方は、是非ともXbox 360版からプレイされることをオススメします。
まとめ
わがままで高飛車で案外根を上げるのが早く扱いにくいご令嬢がいおりんその人。しかしプロデュースを通して努力家なところや、やさしいところを発見していくと、いつの間にか彼女のことを気に入っている自分がいるのです。プロデューサーと彼女の関係は、ストレートな物言いの上に成り立っていて気持ちが良い。軽快な掛け合いも彼女の魅力です。それでは。