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【ネタバレ注意】原作漫画が完結したので「僕だけがいない街」の感想を述べる

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原作未読の状態で視聴したアニメ1話にグイグイ引きこまれ、たまらず単行本を一気読み。続きはまだかと月刊誌の発行を心待ちにすること数回。原作漫画がついに完結してしまいました。

思うところはありましたが、総評としては十二分に面白かった。

リバイバルという舞台装置のあり方

主人公、藤沼悟は再上映(リバイバル)という現象によって、現在からわずかばかり過去に遡ることができます。この能力は、他者が事故や事件に巻き込まれた場合にのみ強制的に発動します。

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作中の悟のモノローグから、現象が発動してもアクションを起こさなかった場合、リバイバルが発動した原因を解決するまで何度も時間が巻き戻ることが示唆されています。しかも悟の意思で任意に発動するわけではない。

失敗したらまた巻き戻せばいい」という安心感がないため、読者に緊迫感を持たせます。これが非常に良い点。

強くてニューゲームという男心をくすぐる展開

序盤で悟の母美智子が何者かに殺害されます。リバイバルによって小学生当時まで遡った悟は、殺害された母の凄惨な結末を回避するため、過去改変に尽力します。

男たるもの一度は考えたことがあるのではないでしょうか。「大人になった今、もしも子どもの頃に戻れたならどうするだろう?」と。

そうなのです。いつまでも子ども心を忘れられないメンズの妄想を実現したかのような展開に惹かれないわけがない

女性陣がみんな魅力的である

僕街の女性陣は素晴らしい。単にヴィジュアルが好みというだけではありません。それぞれ違った内面の良さを持ち合わせているのです。

藤沼佐知子

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悟の母親。第一印象はぶっきらぼうな感じでしたが、単純にサバサバしているだけ。リバイバルで戻った過去描写からして、息子のことを一番大事に考えている理想の母親です。

序盤で彼女が殺害された際は呆然としましたが、悟がリバイバルで再び彼女と再会し食卓を囲み涙を流すシーンには、こちらも思わずうるっときました。ホントに良い母ちゃんです。

片桐愛梨

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悟のバイト先の同僚。悟がリバイバルで子どもを助けたことがきっかけで距離が縮まります。

母を殺害した犯人として指名手配されバイト先の店長に裏切られた悟を心から信頼してくれたひとり。しかしそれはあくまで自分のためなのだと彼女は口にしています。

彼女の父親が冤罪に巻き込まれた際、誰にもその無実を信じてもらえなかったことがトラウマとなり、「誰かを信じたい」という心情を抱いているからなのだと。

悟も過去知人のユウキさんが殺人容疑で冤罪となった際、無実を訴えるも警察に取り入られなかった過去があり、そのことがきっかけで他人と積極的に関わることを拒んでいました。しかし愛梨はそれでも誰かを信じることを信念として他者との関わりを否定していません。

このように、自分とはまるで対照的な彼女と出会うことで、現代において精神的に大きく救われることになります。

雛月加代

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悟の小学生の頃の同級生。ユウキさんが連続殺人の冤罪を科せられた事件の被害者のひとり。

その事件が母の死に関係していると踏んだ悟は彼女を救うため接触を試みますが、突っぱねられてしまいます。序盤はとにかく心を閉ざしきっていますが、それは母親の虐待が大きく関係しています。最初から希望を持たず心を閉ざしていれば傷つかないという考えが、幼い彼女の自衛の手段だったのでしょう。

それでもと、自分の本心を打ち明け真摯に接する悟に心を開き、次第に本来の明るさを見せるようになります。作中の描写はリバイバル期間が大半を占めているためおのずと彼女の出番は多く、更には悟とのイチャコラ描写がふんだんにあるため、自然と愛着が湧いてしまうこと請け負いです。

「僕だけがいない街」

雛月を初めとする連続殺人の被害者を独りにしないことで、犯人の魔の手から守ることに成功した悟ですが、真犯人である担任教師「八代学」の策略により殺害されかけます。

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一命は取り留めるも15年もの間、昏睡状態。八代の手から被害者を守ることができた悟ですが、その代償として自らの15年間を失ってしまったのです。それこそが、タイトルの由来である「僕だけがいない街」。

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それでも、悟の友人は懸命に犯人を追いかけ、また悟の入院費用の募金活動を行っていました。悟はそこにいなくとも、悟を想う人々がそこにはいたというわけです。

雛月とヒロミ

15年振りに目を覚ました悟の元に見舞いにやってきたのは、成長した雛月。その両腕には赤ん坊が抱えられていました。悟が眠っている間に雛月と悟の友人ヒロミは懇ろになっていたとのこと。

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リバイバル中の悟と雛月のイチャコラからして、この作品のヒロインは雛月加代であると考えていた私にとって、なかなかショッキングなワンシーンでした。しかし、殺害されかけたショックでリバイバル関連の出来事をすべて忘れていた悟が、雛月とその子どもの姿に心から涙を流している様子を見て、なんとなく納得できました。

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悟にとっては、かつて救えなかった雛月やヒロミが救われ、当たり前の幸せを育んでいる喜びが心中で圧倒しているのだと。

結末までのスパート

目が覚めてからというもの、フォーカスは悟と八代の二人を中心としています。15年来の仇敵ではあるものの、バトル漫画のようにこの二人が中心になるのはいかがなものかと。

八代が犯人だと明かされてから、過去回想が挟まれたりそのパーソナリティにスポットが当てられ、いつの間にか主人公である悟と対を成す存在に昇華されているのですが、悟の第一動機は母を救うことです。

だとすると、そちら側にもう少し比重を置いて、犯人はあくまで最後の障害として扱うに留めた方が良かったのではないかという思いはあります。母を救おうとすさなか世話になた愛梨の扱いもやや雑です。

和月先生の「武装錬金」や「エンバーミング」を彷彿させる主人公とライバルの対比描写は、この作品にはあまり似合わない。それならば、もう少し周囲の人物の描写に比重を置いてほしかった。それが唯一心残りでしょうか。

とはいえ、風呂敷はきちんと畳まれており、悟自身念願叶い作品がアニメ化されるまでの漫画家として大成します。リバイバルによりなかったことになった愛梨との関係も、新たに築かれるであろうという示唆があります。上々のハッピーエンドです。後腐れはない、というよりもむしろやや駆け足だったのではないかと思うほどキッパリ完結しています。

そのことが惜しいと思うのは、一重にこの作品が面白かったからなのでしょうね。

まとめ

他人の悲劇を回避する場合にだけ発動するリバイバルによって、最後は悟自身救われるというのがポイント。

勇気ある行動の結末が悲劇でいいハズがない

奇しくも連続殺人の真犯人たる八代の口から発せられたこの言葉が、物語の結末にかかってくるというのが憎い。八代の行動自体は許されるものではありませんが、教師として悟に説いた言葉は、悟の心に大きく影響を与えています。

だからこそ、ラストの悟と八代の対比だったのかもしれません。あまり完全に納得はしていませんが。

アニメが9話まで放送され残り話数が少ないのですが、原作と同じ結末を迎えるのかどうか気になるところです。かなり話を圧縮しなければ、漫画と同じ展開は難しそうですが…。どうなるものやら気になります。

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