私は泉ちゃん好きですが、しかし麻生さんも同じく好きです。I”sはいい子が多くて切なくなる。お話しして参ります。
ちょっぴり抜けたお隣さん
高校卒業後一人暮らしを始めた一貴のお隣さん。メインヒロインである伊織ちゃんと瓜二つの相貌。違いは左目の泣きぼくろくらい。家の鍵を失くし一貴の世話になったことがきっかけで、その後ちょくちょく交流するようになります。
電話を借りる際一貴の厚意で大家さんの電話番号の書いたメモを差し出されるも、自分も番号は知っているからとやんわり拒否するのですが、この通り。
出会いがしらでどこか抜けた性格であることが伺えます。そこがまたかわいい。
一貴と一緒に近所をあちこち探すも、結局家の鍵は買い物袋の中に入っているというオチ。灯台下暗しです。
フルネームが麻生藍子(Aso Aiko)なので、頭文字が”I“から始まるネーミング規約に沿っていないではないか、と当初不思議に思っていたのですが、Aikoの”Ai”の読みがまんま”I”だということに後々気づきました。なんということか。
適度な隙がかわいさの秘訣
紛失騒動をきっかけに作った合鍵を一貴の目の前で隠し、この笑顔である。
そのことを指摘するとこの反応。
行動言動の随所に適度な隙を見せてくるのがたまりません。
一貴は芸能人として邁進する伊織ちゃんに複雑な心境を抱いている最中です。伊織ちゃんが自分の力だけで成功していく姿や、反対に夢を持たずフリーターとして燻っている自分に辟易しているためです。
そんなわけで、つい庇護欲を掻き立てられ、かつ伊織ちゃんそっくりの見た目とくれば思うところあって当然なわけです。無意識にナンパするほどには。読者の立場からしてもまったく同感です。
どっこい、きちんと警戒心もあるのです。
それでもやっぱり、どこか隙がある。だって押入れの穴から部屋を覗いてこの反応。
(結婚しよ)
健気ないじらしさがツボ
地元から出てくる直前にできた連絡先も知らない彼氏を一途に信じ続け、誕生日に上京してくるという言葉を聞いてウッキウキの麻生さん。
そんなわけで、張り切って準備に取り掛かるいじらしさときたら。私がこんなんされたら涙を流して喜ぶこと請け合いです。
しかしながら万事うまくは回りません。当日、一貴は一貴で伊織ちゃんとすったもんだあって意気消沈の帰宅。するとアパートの玄関で麻生さんと鉢合わせます。
ここで一貴に対して初めて敬語ではなくタメ口で話すのが、彼女の悲しさのあらわれなのだと思います。切ないと同時に、ひとつ距離が近づいたようにも感じてしまい、不覚にもグっとくる。そして事実、それは思い込みではないのです。
一貴に彼女がいることを知っているからこそ、一貴への思いを胸に押し込めなくてはなりません。でも、もしかしたら、という気持ちもあったはずです。だからこそ、当の一貴にそのことを打ち明けたのでしょう。それは決してズルさではなく、ささやかなわがままです。どこまでも健気でいじらしい。
そして年上の女性になる
伊織ちゃんのことがあったから余計に放っておけなかったのでしょう、一貴は麻生さんに地元まで足を運んで彼を問い詰めるよう言い聞かせ、一緒に秋田を訪れます。
とうの彼氏はどうしようもないクズ野郎。夢を追いかけるのは良いけれども、実際の中身が伴わないチャラ男って感じです。
麻生さんはあっけからんと彼氏との関係をなかったことにしようと提案するわけですが、一体どんな気持ちだったのか。彼氏は「おまえのミリョクはそのタンジュンさ」と口にしていますが、何も感じていないわけがありません。明るく振舞おうと努める姿が痛々しい。
その後の一貴とのやり取りで再びタメ口になる。麻生さんのタメ口は悲しさの象徴なのです。
世間からすればダメ男に惹かれる憐れな女に映るでしょう。でも私の瞳には、このときの麻生さんはどうしようもなく大人の女性として映ります。作中でも、彼氏にフラれた後から明確に一貴は年下で、麻生さんは年上の女性なのだと描写されています。
それは彼氏の夢見る瞳に夢を見た少女から、現実を見つめる大人の女性に成長したからなのかもしれません。
きっと、そういうことなんだと思います。
まとめ
ちょっぴり抜けていて、良い感じに隙があって、けなげでいじらしく、どうしようもなく守ってあげたくなる。それが麻生さんです。庇護欲をそそられるのに年上というギャップもたまりません。結婚したい。それでは。